2ちゃんねる発の書籍『思い出に残る食事』がまさかの泣ける本だった

 

 

 

 

ひろゆきブームによって最近再び耳にする機会が増えた「2ちゃんねる」。

 

かつては犯行予告や匿名の誹謗中傷で注目されるなど、「アングラ」というイメージをもっている人も少なくないかもしれません。

 

しかし、実際の2ちゃんねるは単なるネット掲示板で、そのユーザーもごく普通の人たちが大半です。

 

話題も幅広く、中には読んでいてほっこりしてしまうスレッドもあったようです。

 

その1つが「食べ物板」において2000年2月から2002年12月まで続いた「思い出に残る食事」というスレッドです。

 

きっかけは「もの食うひと」というペンネームの方による書き込みでした。

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スレッド「思い出に残る食事」より

 

食事という毎日の行為は、ときに大切な記憶と結びつくことがあります。

 

そんな思い出に残る食事について語る場となったスレッド「思い出に残る食事」は大変な人気を博し、「伝説のスレッド」とまで言われています。

 

そして、そこで語られた数々の思い出の中から選りすぐりの書き込みをまとめたのが、書籍『思い出に残る食事』です。

 

 

まさか2ちゃんねる発の書籍に泣かされるとは思いもしませんでした。

 

スレッドで語られていたものをそのまま掲載しているからか、文体の乱れが気になることもありました。

 

でもそれがかえって自然体に感じられ、等身大の人の思いを書き綴っていることが感じれられます。

 

そして強烈に刻まれた記憶について語っているからか、切なさや悲しみを感じる話が多いです。

 

邦画にありがちな安っぽい感動とは違い、「普通の人」が体験して語る話はどこかわが身のことのように感じられ、共感を集めやすいのでしょう。

 

 

 

ちなみに、僕が大好きな漫画のキャラクターの「思い出に残る食事」は、「あんこう鍋」のようです。

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『ゴールデンカムイ』の尾形百之助

 

当時、父上は近衛歩兵第1聯隊長陸軍中佐。近衛は天皇に直結する軍ですからね。世間体を考えれば浅草の芸者とその子供は疎ましく感じたでしょう。本妻との間に男児が生まれると、父上は母のもとにぱったり来なくなったと祖母から聞きました。祖母は、母とまだ赤ん坊の俺を茨城の実家に連れ戻したそうです。

 

母はよくあんこう鍋を作ってくれました。「西のふぐに東のあんこう」ってね。あんこうは安く手に入りました。地元の庶民的な鍋です。俺も好きで食べてました。

 

でもね。それが毎日なんですよ。あんこうがとれる冬の時期はね。母は毎日、あんこう鍋を作ろうとするんです。父上が美味しいと言ってくれたから、また食べに来てくれると信じて、毎日、毎日。頭がおかしくなってたんです。

 

俺は祖父の古い銃を持ち出して畑へ行って鳥を撃った。鳥があれば、あんこう鍋を母は作らないと思って。でもいくら鳥を撃っても、あんこう鍋を母は作り続けるんです。

 

だから俺は、祖父母が留守の時、殺鼠剤をあんこう鍋に入れて母に食べさせた。「少しでも母に対する愛情が残っていれば父は葬式に来てくれるだろう。母は最後に愛した人に会えるだろう」と。

 

でも。あなたは来なかった。

 

 

 

みなさんの「思い出に残る食事」は何でしょうか?

 

ときには思い出にふけりながら読書するのも、素敵な時間なんじゃないかと思います。