紙の本を買うことは中抜きを肯定すること~電子書籍を買おう~

 

 

 

僕はもう3年以上、紙媒体の本を買っていません。

 

電子書籍の方が安いという経済的な事情もありますが、それ以上に電子書籍の利用が増えることで社会がよりよくなると考えているからです。

 

紙媒体の印税と中抜き構造

紙媒体にはいろいろなコストがかかります。

 

印刷のコスト、輸送のコスト、書店で販売するコスト。

 

これらはもちろん書籍の価格に少しずつ乗せられていて、そうしたコストを差し引くと著者の手元に残るのは10%程度だそうです。

 

 

これがいわゆる「印税」というもので、1000円の紙の本が1冊売れても著者には100円しか収入が入らないということです。

 

例外として、書いた本が必ずヒットするメンタリストDaiGo氏は、出版社と交渉して他の作家よりも印税が多いそうですが、それでも15%程だといいます。

 

名の知れた作家であっても基本的に印税は10%であり、マイナー作家はもちろんそれより低いです。

 

そして無名の作家に至っては、「印税はいらないからとにかく本を出してください」と出版社に頭を下げる状態だそうです。

 

この状況を皆さんはどう思うでしょうか?

 

僕はこの状況は社会にとって良くないと考えています。

 

書籍が作られるのは、ほかの誰でもない、著者の存在があってこそです。

 

印刷所や運送会社や書店で働く人の代わりはいくらでもいますが、著者の代わりはいません。

 

著者がいなければ小説も漫画もビジネス書も生まれないのですから、著者がほかの誰よりも報われるべきだと僕は思います。

 

しかし、買う人が紙媒体を選び続ける限り、「電子より紙の方が需要がある」と出版社は判断し、紙での出版はずっと続きます。

 

その結果、印刷、運送、書店販売という過程でどんどん中抜きが発生する構造が維持され、著者が得られるはずだった利益は削られたままです。

 

紙の本を選ぶということはこうした中抜き構造を肯定することであり、著者や編集者といった書籍を作り上げる人とは別のところにお金を落とすということなのです。

 

 

電子書籍の高い印税

では、人々が電子書籍を選んだらどうなるでしょうか?

 

Amazonの電子書籍ブランド、「kindle」の印税事情を紹介したいと思います。

 

kindleで出版した際の印税率は35%または70%と定められており、なんと紙媒体の場合と比べて3~7倍以上の印税が発生します。

 

ちなみに印税率を70%にするには

 

・「KDPセレクト」へ登録してAmazonで独占販売すること

 

・出版の際の希販売価格を250円以上1250円以下に設定すること

 

という条件があります。

 

「kindleが嫌いで楽天やDMMの電子書籍サービスしか使わない」という人には読まれないというデメリットもあるかもしれません。

 

しかし、印税率70%という数字の前にはそんな少数派のことはどうでもよくなるでしょう。

 

なんせ紙の本なら1000円の本が1冊売れて100円の印税なのに対し、kindleなら印税が700円も入るんですから。

 

もっと言えば、kindleなら最低価格の250円で販売しても印税は175円入るので、紙の本の4分の1の価格で著者の収入は75%アップという意味が分からないレベルです。

 

というわけで、電子書籍を選ぶほうが基本的に著者の収入はより高くなります。

 

 

紙媒体支持派の主張について

「紙媒体の方が著者の利益になる」と主張する人もいるので、よくある意見を紹介しましょう。

 

紙媒体で購入するべきといわれる理由の1つは、「紙媒体の方が印税が確保される」というものです。

 

実は印税が発生する仕組みは紙媒体と電子書籍で大きく異なります。

 

紙媒体が「印刷された部数」に基づいて印税が発生するのに対し、電子書籍は「実際に売れた部数」に基づいて印税が発生します。

 

紙媒体なら印刷した時点で印税が確定するため、結果的に想定以下の売れ行きだったとしても著者には十分な収入が入るわけです。

 

一方、電子書籍は実際に売れた分しか印税が発生しないため、売れない作品を書いてしまった著者はほとんど収入を得られないという事態が起こり得ます。 

 

こうした印税の発生過程の違いから、どれだけ在庫が余っても印税が確保される紙媒体の方が著者の収益になると主張しているわけです。

 

そして2つ目が、「日本の出版流通システムの都合で紙媒体を買う方が著者の利益になる」という主張です。

 

日本の出版業界は、「出版社」「書店」「取次」の三者の存在で成り立っています。

 

出版社が出版した本はまず取次に卸され、その時点で一度出版社の売り上げとなります。

 

そして書店は取次から本を入手して店頭に並べるのですが、実は書店は「委託販売」という形で書籍を扱っており、一定期間を過ぎて売れ残った本を取次に返品することができます。

 

そして、取次は返品された書籍の分だけ出版社に返金を要求することができます。

 

出版社としては当然、売れ残る本が可能な限り少なくなる方が利益率が高くなるので、返品の状況を見て印刷の増減を判断します。

 

そして、場合によっては連載打ち切りの判断もしなくてはなりません。

 

そのため、「現時点で」「現実的に著者の利益を考えると」紙媒体を買うべきと主張する人がいるわけです。 

 

 

それでも電子を選ぶべき理由

以上がよく見かける紙媒体を買うべき派の主張です。

 

それぞれについて僕が思うことを書いてみます。

 

まずは1つ目の理由、「紙媒体の方が印税が確保される」という主張について。

 

結論としては、「つまらない作品を書く著者が淘汰されるので電子書籍を選ぶべき」だと思います。

 

紙媒体なら売れ残りが多くても印税が入るから構わないというのは、著者の立場からすれば確かにそうかもしれません。

 

しかし、売れ残りは返品のために輸送コストがかさんで出版社の利益を圧迫したり、資源の無駄遣いだったりします。

 

売れなかった時の保険が欲しい気持ちはわかりますが、そのために紙媒体を主流のままにして中抜き構造を維持するのは、優れた書籍を生み出す著者が報われません。

 

結果として消費者である僕たちもいい作品に触れられる機会が減るという点でも、紙媒体を選ぶ理由にはならないと思います。

 

 

そして2つ目の理由、「日本の出版流通システムの都合で紙媒体を買う方が著者の利益になる」について。

 

これは難しい問題です。

 

長期的には電子書籍がメジャーになる方が、著者はより多くの収入を得られるようになります。

 

一方で、その過程では紙媒体の売り上げが下がったことを理由に連載が打ち切りになるなど、不利益を被る著者もいます。

 

「いま活動する著者の利益」と、「これから先のすべての著者の利益」のどちらを取るかということです。

 

「紙か?電子か?」という問いは、実は短期的な利益と長期的な利益のどちらを取るか?という問いでもあるのです。

 

 

 

難しい問題ですが、それでも僕は電子書籍を選ぶ方が社会全体の利益が大きいと考えました。

 

電子書籍なら紙媒体より安い価格設定でも著者に大きな印税が入り、消費者も手軽に書籍を楽しむことができます。

 

これは印刷、運送、書店での販売という中抜きポイントをごっそりと落とした結果です。

 

紙媒体がメジャーな現状から電子書籍がメジャーになる過程で、不利益を受ける著者がある程度発生するのは事実ですが、長期的にはそうした著者たちも報われる社会になります。

 

一方で、電子書籍がメジャーになる過程で犠牲になる人が生まれることを許せないなら、今の中抜き構造を続けるしかありません。

 

それはつまり、優れた著者が大きな利益を得ることを許さない社会がずっと続くということを意味します。

 

優れた著者が大きな利益を得られる構造にシフトした方が著者のモチベーションにつながり、優れた作品や言論が世に出るなど、社会にも大きなメリットがあるでしょう。

 

そのため、やはり積極的に電子書籍を選んでくことの方が正しいと僕は考えています。

 

 

ここからは、電子書籍が当たり前になった世界で出版業界がどうなるのか、僕の個人的な妄想を書いていきたいと思います。

 

 

フリーランス化する出版業

紙媒体での出版がほとんどなくなっても、出版社の必要性は変わらないでしょう。

 

書籍が売れるためには著者がアイディアを出すだけは不十分だからです。

 

そのアイディアをより良い方向に導く編集者、読みたくなるような表紙を作るデザイナー、多くの人に認知される方法を考えるマーケターなど、様々な人の力があってヒットが生まれます。

 

それは紙媒体か電子書籍かで変わることではないでしょう。

 

つまり、基本的に出版社の役割は変化しないのではないかと僕は考えています。

 

 

ただ、出版業界のフリーランス化が飛躍的に進む可能性もあります。

 

「出版不況」と言われる時代に、SNSを活用してヒットを連発する人気編集者が現れました。

 

自分の考えや価値観をライターに話して文章にしてもらい、自分はあとがきしか書いていないのにベストセラーを連発する著者もいます。

 

多くのファンを抱える著名人と、その思考を文章化するライター、表紙やイラストを作ることができるデザイナーやイラストレーター、本の魅力を個人で発信できる有力な編集者。

 

こうした人々が集まれば、出版社を挟まなくても書籍を、それもベストセラーを生み出すことはもう可能になっています。

 

電子書籍が当たり前になった世界では、著者を中心にしたフリーランス集団が出版物を作るのが普通のことになるかもしれません。

 

 

書店の役割はネットへ

電子書籍が当たり前になった世界では、書店の役割は大きく縮小しているでしょう。

 

人々はオンラインで書籍の存在を知り、SNSでその魅力を伝えられ、スマホやタブレットにダウンロードして楽しむようになり、そこにリアル世界の書店が入り込む隙はありません。

 

「紙媒体の味わい」にこだわる一部の愛好家たちを対象とした書籍や、図鑑のような電子化が難しい出版物を専門的に扱う存在になるかもしれません。

 

 

しかし、リアル世界からネット上へ活動の場所を移すことで、意外な飛躍を遂げる可能性もあります。

 

簡潔に言えば、書店がリアル店舗を捨ててアフィリエイトサイトを運営するということです。

 

書店の存在価値の一つは「本の魅力を伝えること」です。

 

その本から何を得られるか?どんな人におすすめか?なぜ読むべき一冊なのか?

 

そうした情報を書籍のプロである書店員が素人である客に伝えるのが本来の書店の存在価値です。

 

ところが現状の書店を見ると、棚に書籍を並べ、その横にちょっとしたポップを置き、レジでバイトが決済処理をするだけの場所になっています。

 

そうした事業形態を捨てて、本の魅力を伝えるアフィリエイトサイトを企業規模で運営することが書店の活路になるかもしれません。

 

書店の利益率は20%程と言われていて、そこからテナント料やアルバイトへの給料をさしひいた金額が利益になります。

 

しかし、アフィリエイトサイトを運営すればアルバイトスタッフを使う必要はほとんどなくなり、テナント料も発生しません。

 

完全テレワークが可能なので本社オフィスすら不要になるかもしれません。

 

電子書籍の紹介料はAmazonアソシエイトの場合は8~10%と比較的高いため、固定費がかからないビジネスとして成立するのではないでしょうか。

 

 

印刷業・運送業はどうする?

知りません。

 

というのは冷たすぎるかもしれませんが、これは割と本心です(笑)。

 

不要な中抜きビジネスはどんどん縮小化するべきだと僕は思います。

 

そんな業界の雇用を守るよりも、失業保険をもらいながら新しいスキルを身に着けてもらい、別の仕事をしてもらう方が社会にとっては得でしょう。

 

もちろん、失業という恵まれた立場を活かして生活保護で楽しく過ごすのもありだと思います(笑)。

まとめ

消費活動は一種の投票です。

 

自分が何を選ぶかで、社会は少しずつ変わっていきます。

 

紙媒体を選び続けて中抜き構造がいつまでも続き、優れた書籍を生み出す著者が報われにくい世界を維持するか?

 

それとも電子書籍を選ぶことで中抜き構造にNOを突きつけ、著者が報われやすい社会を目指すか?

 

みなさんはどちらを選びますか?

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